「創業計画書の書き方がわからない」「テンプレを見てもどう埋めればいいか不安」——そんなあなたに向けて、AFP・宅地建物取引士の資格を持ち、自ら法人を設立して日本政策金融公庫に創業計画書を提出した筆者Christopherが、実際に融資が通った書き方テンプレと記入のコツを包み隠さず解説します。この記事を読み終える頃には、あなたの計画書は「通る書類」に変わっているはずです。
創業計画書の書き方テンプレ——結論は「数字の具体性」がすべて
一言で言うと「公庫の担当者が5分で判断できる数字」を書く
創業計画書の書き方で最も重要なのは、文章の美しさではありません。日本政策金融公庫の担当者が1日に何十件もの書類を審査する中で、あなたの計画書を5分で「いける」と思わせる数字の具体性です。
公庫の創業計画書テンプレは全8項目で構成されています。しかし勝敗を分けるのは「7. 必要な資金と調達方法」と「8. 事業の見通し」の2項目です。ここに根拠ある数字が入っていれば、担当者の信頼度は一気に上がります。
逆に言えば、この2項目が曖昧なまま提出すると、どれだけ事業への熱意を書き連ねても落ちます。私自身、法人設立時にこの事実を痛感しました。
なぜ「数字の具体性」が結論になるのか
- 公庫の審査基準は「返済可能性」に集約される。担当者が見ているのは「この人にお金を貸して返ってくるか」の一点です。返済原資を数字で示せなければ、計画書としての役割を果たしません。
- 創業融資は実績ゼロが前提。実績がない以上、売上の根拠となる数字(単価×客数×営業日数など)を積み上げ方式で示す以外に説得力を出す方法がありません。AFPとして資金計画を見てきた経験上、この積み上げ計算の有無で通過率は大きく変わります。
- テンプレの「空欄」が最大の減点対象。公庫のテンプレには余白がありますが、空欄で出すと「準備不足」と判断されます。すべての欄を数字と根拠で埋め切ることが、書き方の鉄則です。
私が法人設立時に創業計画書を公庫に出した実体験
株式会社設立で公庫に創業計画書を提出した時の話
私Christopherは、東京・浅草エリアで民泊事業を行うために株式会社を設立しました。事業開始にあたり、物件の初期費用・家具家電・運営システム導入費など、合計で約800万円の資金が必要でした。自己資金は約300万円。残り500万円を日本政策金融公庫の新創業融資制度で調達する計画を立てました。
最初に公庫のウェブサイトから創業計画書のテンプレ(様式)をダウンロードし、記入を始めたのですが、正直に言うと「8. 事業の見通し」で完全に手が止まりました。民泊の売上予測をどう書けばいいのか、稼働率は何%で見積もるのが妥当なのか、まったく見当がつかなかったのです。
当時の私は焦りと不安でいっぱいでした。法人登記は済ませたのに、融資が下りなければ事業を始められない。その恐怖は今でも覚えています。
結局、私がやったのは「浅草エリアの民泊物件をAirbnbで30件以上リサーチし、平均宿泊単価と稼働率を自分で算出する」ことでした。当時の浅草エリアの1LDK物件の平均宿泊単価は約12,000円、稼働率は繁忙期で80%、閑散期で50%、年間平均で約65%。この数字をもとに月間売上を「12,000円×30日×65%=234,000円」と計算し、そこから管理費・清掃費・消耗品費を引いた収支計画を創業計画書に落とし込みました。
面談では担当者から「この稼働率65%の根拠は何ですか」と聞かれましたが、Airbnbの実データ30件分のスプレッドシートを見せたところ、担当者は大きくうなずいてくれました。結果として希望額500万円は満額で通りました。
この経験から学んだこと——数字で語れば信頼される
この体験から得た最大の教訓は、「創業計画書は感情ではなく数字で書くもの」ということです。具体的に学んだことを数字で整理します。
まず、自己資金比率は最低でも3分の1を確保すべきです。私の場合、800万円中300万円で37.5%。公庫の担当者からも「自己資金がしっかりある」と評価されました。2014年以降、公庫の新創業融資制度では自己資金要件が「10分の1以上」に緩和されましたが、実務上は3分の1以上ないと審査は厳しくなります。
次に、売上根拠は「単価×数量×頻度」の3要素に分解することです。民泊なら「宿泊単価×稼働日数×稼働率」。飲食なら「客単価×席数×回転率×営業日数」。この分解ができていないと、担当者は「この売上はどこから来たのか」と不信感を持ちます。
さらに、面談時の補足資料は審査結果を左右します。私が持参した30件分のリサーチデータは、計画書本体にはない「裏付け」として大きく機能しました。計画書のテンプレはA3用紙1枚ですから、書ききれない根拠は別途資料にまとめるべきです。
創業計画書の書き方——8項目を埋める具体的手順
公庫テンプレ全8項目のステップ別記入ガイド
日本政策金融公庫の創業計画書テンプレは、以下の8項目で構成されています。ステップ順に解説します。
| 項目番号 | 項目名 | 記入のポイント | 重要度 |
|---|---|---|---|
| 1 | 創業の動機 | なぜ今このタイミングで創業するのか。経験・スキルとの接続を書く | ★★★ |
| 2 | 経営者の略歴等 | 事業に直結する職歴・資格を時系列で。関係ない経歴は省略可 | ★★★★ |
| 3 | 取扱商品・サービス | 売上構成比を%で記入。セールスポイントは「競合との違い」を1行で | ★★★ |
| 4 | 取引先・取引関係等 | 販売先・仕入先・外注先を具体的に。「未定」は極力避ける | ★★★ |
| 5 | 従業員 | 人件費に直結するため正確に。家族従業員も記載 | ★★ |
| 6 | お借入の状況 | 住宅ローン・カードローン等すべて正直に。隠すと信用を失う | ★★★★ |
| 7 | 必要な資金と調達方法 | 設備資金と運転資金を分けて記入。見積書を必ず添付 | ★★★★★ |
| 8 | 事業の見通し | 創業当初と軌道に乗った後の月間収支。売上根拠を別紙で補足 | ★★★★★ |
ステップ1:項目2「略歴」から書き始める。自分の職歴と事業の関連性を整理すると、項目1「動機」が自然に書けるようになります。
ステップ2:項目7「必要な資金と調達方法」を数字で埋める。設備資金は見積書をもとに1円単位で。運転資金は最低3か月分を計上します。調達方法は「自己資金+公庫借入」で左右の合計を一致させること。ここがズレると即修正を求められます。
ステップ3:項目8「事業の見通し」を積み上げ計算で作る。前述の「単価×数量×頻度」で月間売上を算出し、経費を項目ごとに差し引いて利益を出します。ここで出た利益から返済額を引いても手元に資金が残ることを示す——これが「返済可能性」の証明です。
ステップ4:残りの項目を埋めて全体の整合性を確認する。項目3の売上構成比と項目8の売上見通しが矛盾していないか、項目5の従業員数と項目8の人件費が一致しているかを必ずチェックしてください。
初心者が最初にやるべきこと
創業計画書を初めて書くあなたが、最初にやるべきことはたった一つ。日本政策金融公庫のウェブサイトから「創業計画書記入例」をダウンロードして、自分の事業に置き換えて読むことです。
公庫は業種別の記入例(洋風居酒屋・美容業・中古自動車販売業など)を無料で公開しています。自分の業種に近い記入例を選び、数字の入れ方を真似するところから始めてください。[INTERNAL_LINK_1]
私が宅地建物取引士として不動産関連の創業計画書を添削した経験上、初心者がつまずくのは「自分の事業をどの粒度で数字に落とすか」の判断です。迷ったら「粒度は細かすぎるくらいでちょうどいい」と覚えてください。担当者は「ざっくり」を嫌います。
創業計画書でやってはいけない失敗例と注意点
よくある失敗3つ
- 売上の根拠が「希望的観測」になっている。「初月から月商100万円を見込みます」と書いても、その100万円の内訳がなければ担当者は信じません。「客単価5,000円×1日7組×営業25日=875,000円」のように分解し、さらに「同立地の競合A店は1日平均8組を集客」という裏付けを添えて初めて根拠になります。
- 自己資金を「見せ金」で水増しする。公庫は直近6か月分の通帳原本を確認します。急に大きな入金があると「一時的に借りて残高を作ったのでは」と疑われ、最悪の場合は融資謝絶になります。自己資金はコツコツ貯めた痕跡が通帳に残っていることが重要です。
- 借入状況を隠す、または過少申告する。公庫は信用情報機関(CIC・JICC)を照会します。カードローンやリボ払いの残高を隠しても100%バレます。正直に記載した上で、返済計画を示すほうがはるかに印象がよくなります。
私や周囲で実際に起きた失敗実例
私自身が犯しかけたミスがあります。法人設立時、フィリピン・マニラに保有していた不動産物件を「資産」として創業計画書に記載しようとしたのですが、海外不動産は公庫の担保評価の対象外です。AFPの知識があったにもかかわらず、当初はこの点を見落としていました。
提出前に公庫の窓口で事前相談をした際に指摘を受け、慌てて修正しました。この経験から言えるのは、「提出前に必ず公庫の窓口で事前相談を受けるべき」ということです。事前相談は無料で、担当者が計画書をざっと確認してくれます。これだけで致命的なミスを防げます。
また、知人の起業家の例も紹介します。飲食業で創業融資を申し込んだ知人は、「事業の見通し」に載せた家賃が実際の物件の賃料と異なっていました。公庫は賃貸借契約書の提出も求めるため、書類間の数字の不一致が発覚し、追加説明を求められて融資実行が1か月以上遅れました。[INTERNAL_LINK_2]
創業計画書のテンプレに書く数字は、すべて裏付け書類と一致させる。当たり前のことですが、焦っているときほどこの確認を怠りがちです。書き終えたら必ず、見積書・契約書・通帳のコピーと突き合わせてください。
まとめ——創業計画書の書き方テンプレを「通る書類」に変える
この記事の要点3行
- 創業計画書の書き方の核心は「単価×数量×頻度」で売上根拠を数字で示すこと。テンプレの空欄を残さず、すべての欄を具体的な数字で埋め切る。
- 項目7「必要な資金と調達方法」と項目8「事業の見通し」が審査の最重要項目。ここに積み上げ計算の根拠と補足資料を添えることで通過率は大幅に上がる。
- 提出前に公庫の窓口で事前相談を受け、書類間の数字の整合性を最終チェックする。このひと手間が融資謝絶と満額融資を分ける。
次に取るべきアクション
この記事を読んだあなたが今すぐやるべきことは、自分の事業で「いくら必要で、いくら借りられるのか」を正確に把握することです。創業計画書の書き方テンプレを完璧に仕上げても、そもそも融資可能額の目安を知らなければ、計画書の数字に現実味を持たせることができません。
以下のサービスでは、無料であなたの融資可能額を診断できます。公庫への申請前に自分の資金調達力を客観的に把握しておくことで、創業計画書に書く調達金額の妥当性が一段上がります。私自身、法人設立の初期段階で資金調達の専門家に相談しておけば、計画書の修正に費やした時間を大幅に短縮できたと感じています。
創業計画書は、あなたの事業の設計図です。数字の具体性を徹底し、裏付け資料を揃え、公庫の担当者に「この人なら返済できる」と確信させてください。あなたの創業が成功することを、同じ道を歩いた者として心から応援しています。

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