フィリピン不動産の空室率と家賃下落リスクを現地オーナーが解説

フィリピン不動産の空室率は、エリアと物件グレードによって大きく異なります。本記事では、マニラとセブに実物件を保有し賃貸運営を行ってきた筆者Christopherが、最新の空室率データ・家賃下落リスク・具体的な対策手順を一次情報とともにお伝えします。フィリピン不動産の空室率を正しく理解し、投資判断に役立ててください。

フィリピン不動産の空室率は「エリア×グレード」で天と地ほど違う

一言で言うと「マニラ中心部のミドルグレード物件なら空室率8〜12%、郊外や高級物件は20%超も覚悟すべき」

フィリピン不動産の空室率について結論から述べます。2024年時点で、マカティCBDやBGC(ボニファシオ・グローバルシティ)のスタジオ〜1BRクラスは空室率8〜12%前後で推移しています。一方、ベイエリアのハイエンドコンドや地方都市の新築タワーは空室率が20%を超えるケースも珍しくありません。

つまり「フィリピン不動産=空室率が低い」とは言い切れないのが現実です。あなたが投資する物件の立地・価格帯・ターゲットテナントによって、空室リスクはまったく変わります。

なぜその結論になるのか──3つの根拠

  • 供給過剰エリアが存在する:マニラ首都圏では2019年以降、ベイエリアを中心に年間約2万戸のコンドミニアムが竣工しており、需要の伸びを上回る供給が続いています。Colliers Philippinesの2024年Q2レポートでも、ベイエリアの空室率は約19%と報告されています。
  • テナント層が二極化している:BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)従事者やOFW(海外就労フィリピン人)の帰国組が求めるのは月額1.5万〜2.5万ペソ帯のミドルグレード物件です。月額6万ペソ以上の高級物件は駐在員需要に依存しており、景気変動で空室率が跳ね上がります。
  • 家賃下落は空室率と連動する:宅地建物取引士の視点で言えば、供給過多エリアでは「空室率上昇→家賃引き下げ競争→利回り低下」のスパイラルが起きやすい構造です。私がAFPとして資金計画を組む際も、家賃下落率を年3〜5%織り込んでストレステストをかけています。

私がマニラとセブで実際に経験した「空室の恐怖」

マニラ・マカティの1BRを購入して半年空室になった話

私がフィリピン不動産投資を始めたのは2018年のことです。マカティCBDにある築浅コンドミニアムの1BRユニットを約600万ペソ(当時のレートで約1,300万円)で購入しました。「マカティなら即入居者がつくだろう」と楽観していましたが、現実は甘くありませんでした。

引き渡しが完了した2019年2月からテナント募集を開始したものの、同じタワー内だけで50戸以上が同時に募集をかけていたのです。結果、最初の入居者が決まったのは8月。実に半年間の空室期間が発生しました。その間も管理費(Association Dues)が月額約6,000ペソかかり続け、固定費だけで約3.6万ペソを持ち出しました。

当時は正直「この物件、本当に借り手がつくのか」と眠れない夜もありました。結局、当初想定していた月額2万ペソの家賃を1.7万ペソまで下げてようやく契約成立。年間利回りは想定の5.2%から3.4%に落ち込みました。

そこから学んだこと──数字が教えてくれた3つの教訓

この経験を通じて、私は以下の数字を強く意識するようになりました。

第一に、同一タワー内の競合戸数を必ず確認すること。私のケースでは全400戸中50戸超が賃貸募集中、つまりタワー内空室率が約12.5%でした。事前にこの数字を知っていれば、家賃設定や購入判断が変わっていたはずです。

第二に、管理費を含めた「空室コスト」を月単位で把握すること。管理費6,000ペソ×6ヶ月=3.6万ペソ。さらに不動産税(Real Property Tax)の月割り分を加えると、空室期間のキャッシュアウトは約4.5万ペソに達しました。

第三に、家賃を下げる「損切りライン」を事前に決めておくこと。私は3ヶ月空室が続いた時点で家賃を15%下げるルールを設定し、それ以降はこのルールに従っています。セブの物件では初月から1.5万ペソで募集し、2週間で入居が決まりました。損切りラインを持つことで精神的にも安定します。

フィリピン不動産の空室率を抑える具体的ステップと主要エリア比較

エリア別の空室率・平均家賃・ターゲットテナント比較表

エリア 空室率目安(2024年) 1BR平均家賃 主なテナント層 家賃下落リスク
マカティCBD 8〜12% 1.5万〜2.5万ペソ BPOワーカー・若手駐在員
BGC(タギッグ) 10〜14% 2.5万〜4.5万ペソ 外資系駐在員・富裕層 中〜高
ベイエリア(パサイ) 15〜22% 1.2万〜2万ペソ POGO関連(縮小傾向)・国内転勤者
オルティガス 9〜13% 1.2万〜2万ペソ BPOワーカー・国内中間層 低〜中
セブ・ITパーク周辺 10〜15% 1万〜1.8万ペソ BPOワーカー・語学留学関連

上記の通り、ベイエリアは2024年時点でもPOGO(オフショア・ゲーミング)退去の影響が残り、空室率が最も高い水準です。一方、オルティガスは再開発が進みBPO企業の集積が続いているため、比較的安定しています。

初心者が最初にやるべき5つのステップ

  1. ターゲットテナントを先に決める:「誰に貸すか」を決めてからエリアと物件を選びます。BPOワーカー向けなら月額1.5万〜2万ペソ帯、駐在員向けなら3万ペソ以上が目安です。
  2. タワー内・周辺の供給数をリサーチする:Lamudi、Property24、Dot Propertyなどのポータルサイトで同一エリアの募集件数を確認してください。同じタワー内で30戸以上の募集があれば、空室リスクは高いと判断すべきです。
  3. 管理会社(Property Management)を選定する:フィリピンでは管理会社の質がテナント獲得速度を大きく左右します。私はマニラではDMCI Homesの管理部門、セブでは現地の独立系PMを使い分けています。管理手数料は家賃の5〜10%が相場です。
  4. 空室期間のキャッシュフローをシミュレーションする:AFPとしてファイナンシャルプランを組む際、私は年間2ヶ月の空室を前提に計算しています。つまり、稼働率83%での利回りが黒字になるかどうかが投資判断の分水嶺です。
  5. 現地を実際に訪問して「歩く」:オンラインの情報だけでは空室率の肌感覚はつかめません。実際にタワーのロビーを訪れ、掲示板の募集チラシの枚数を数えるだけでも貴重な一次情報になります。[INTERNAL_LINK_1]

私自身、セブのITパーク周辺でスタジオタイプの物件を購入した際は、現地滞在中に5つのコンドミニアムのロビーを回り、実際に募集中の戸数を数えました。その結果、最も空室が少なかったタワーを選び、購入後1ヶ月以内にテナントが決まりました。

空室率・家賃下落で失敗しないための注意点と実例

よくある失敗3つ

  1. 「プレセール価格が安いから」だけで郊外の大規模開発を購入:フィリピンではプレセール(完成前販売)が一般的ですが、竣工までに周囲のインフラが整わず、テナントがつかないケースが多発しています。特にカヴィテ州やブラカン州の大規模開発は、2024年時点でも駅延伸が計画段階のまま止まっている物件があります。
  2. 高級家具付き物件にして家賃を上げようとする:家具の質を上げても家賃が比例して上がるわけではありません。BPOワーカーは機能的な家具があれば十分です。過剰な内装投資は回収に5年以上かかることもあります。
  3. 管理を現地の知人に「お願い」する:契約書なしで知人に管理を任せた結果、家賃の送金遅延や修繕費の水増しが発覚するトラブルは後を絶ちません。必ず正式な管理委託契約(Property Management Agreement)を締結してください。

私や周囲の投資家で実際に起きた失敗事例

私の知人(日本人投資家)は2020年にマニラ・ベイエリアの2BRコンドミニアムを約900万ペソで購入しました。当時はPOGO関連の中国人テナント需要が旺盛で、月額4万ペソの家賃が見込めるという触れ込みでした。

しかし、フィリピン政府のPOGO規制強化により、2021年以降テナントが一斉退去。彼の物件は1年以上空室が続き、最終的に月額1.8万ペソまで家賃を下げてようやくフィリピン人テナントが入りました。当初想定の利回り5.3%は、実質1.2%まで低下しています。

私自身もマカティの物件で「短期賃貸(Airbnb)で利回りを上げよう」と考えた時期がありました。しかし、2019年にマカティ市がコンドミニアムでの短期賃貸を事実上規制する条例を出したため断念しました。東京・浅草で民泊運営をしていた経験があったので運営ノウハウには自信がありましたが、「規制リスクは国・都市ごとに全く違う」という当たり前の事実を改めて痛感しました。[INTERNAL_LINK_2]

宅地建物取引士として強調しておきたいのは、フィリピンの不動産法制は日本と根本的に異なるということです。外国人は土地を所有できず、コンドミニアムも全体の40%までしか外国人が保有できません(共和国法第4726号)。この制限がリセール時の買い手の幅を狭め、空室が長引く原因にもなります。

まとめ──フィリピン不動産の空室率を味方につけるために

この記事の要点3行

  • フィリピン不動産の空室率はエリア・グレードで8%〜22%超まで大きく異なり、ベイエリア・高級物件ほどリスクが高い。
  • 空室率を抑える鍵は「ターゲットテナントの明確化」「タワー内供給数のリサーチ」「年間2ヶ月空室前提の資金計画」の3つ。
  • 家賃下落リスクはPOGO規制・供給過剰・為替変動と連動するため、常に最新情報を入手し、損切りラインを事前に設定すべき。

次に取るべきアクション

フィリピン不動産の空室率と家賃下落リスクは、正しい情報と戦略があればコントロールできます。しかし、ネット上の情報だけで判断するのは危険です。私自身、投資を始める前に複数のセミナーに参加し、現地の最新データやプロの視点を得たことで、致命的な失敗を避けることができました。

あなたがフィリピン不動産投資を真剣に検討しているなら、まずは最新のマーケットデータと実務ノウハウを体系的に学べる場に参加すべきです。以下のオンラインセミナーでは、海外不動産投資の最新動向・エリア分析・リスク管理を無料で学ぶことができます。

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空室率という数字に振り回されるのではなく、数字を読み解き、自分の投資基準を持つこと。それがフィリピン不動産で長期的に利益を出す唯一の方法です。私はマニラとセブでの経験を通じて、そのことを身をもって学びました。あなたにも同じ失敗をしてほしくないからこそ、まずは行動を起こしてください。

筆者:Christopher/AFP(日本FP協会認定)・宅地建物取引士/株式会社代表。フィリピン(マニラ・セブ)およびハワイに実物件を保有し、東京・浅草エリアでの民泊運営経験、海外金融機関での営業経験を持つ。自身の投資実績と資格に基づく一次情報を発信しています。

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