連結納税の事例を調べていて「これ、マイクロ法人や1人社長にも使えるのか?」と疑問を持ったことはありませんか。私自身、2026年に東京都内で株式会社を設立した際、まさに同じ問いに直面しました。本記事では連結納税・グループ通算制度の基礎から実際の事例7つ、そして中小法人節税として現実的に機能するかどうかの判断軸まで、実務と経験の両面から整理します。
連結納税制度の基礎と現状:1人社長が最初に確認すべき全体像
連結納税からグループ通算制度への移行で何が変わったか
連結納税制度は2022年4月以降、「グループ通算制度」へと事実上移行しています。旧来の連結納税は親法人が一括で申告・納税する仕組みでしたが、グループ通算制度では各法人が個別に申告しつつ、損益通算などの調整を行う点が大きく異なります。
一見すると「連結納税がなくなった」と思われがちですが、正確には制度の骨格は引き継がれています。グループ内の黒字法人と赤字法人の利益・損失を通算できるという核心部分は変わっていません。1人社長にとって重要なのは「自分が保有する複数法人に適用できるか」という実務判断です。
なお、以下の説明では「連結納税」という用語を歴史的な文脈も含めて使いますが、現行制度としてはグループ通算制度が正式名称である点を念頭においてください。個別の税務判断は必ず税理士にご相談ください。
マイクロ法人が連結納税を検討する際の前提条件
連結納税(グループ通算制度)の適用には、親法人が子法人の発行済株式の100%を直接または間接的に保有していること、完全支配関係があることが前提です。つまり1人社長がA社・B社の2社を保有していても、持株構造が100%でなければ対象外となります。
また、連結納税の申請は「任意」です。利益が出ている法人のみを抱えている場合、通算することのメリットは薄く、むしろ事務負担が増えます。マイクロ法人・中小法人節税の観点では、「黒字法人と赤字法人が同じオーナーの傘下にある」構造が前提条件と理解しておくべきです。
事例1〜3:黒字赤字相殺・研究開発・投資損失の活用パターン
事例1:グループ内黒字と赤字の損益通算で法人税を圧縮
中小法人節税の文脈で語られる連結納税事例として、もっとも頻繁に登場するのが「黒字子会社と赤字子会社の損益通算」です。たとえばA社(黒字1,000万円)とB社(赤字500万円)を同一オーナーが100%保有しているケースでは、通算後の課税所得が500万円となり、法人税額が圧縮される可能性があります。
一般的な試算では中小法人の法人税率(軽減税率15%・通常23.2%等、所得金額や区分により異なる)を前提にすると、500万円の赤字通算で数十万円〜100万円超の節税効果が見込まれる場合があります。ただし実際の税額は所得の種類・課税区分・各種控除によって異なるため、あくまで概算の参考値として捉えてください。
事例2:設備投資・新規事業立ち上げ期の赤字を既存黒字法人に通算
保険代理店勤務時代、私は複数の経営者から「新規事業の法人を別に作ったが、立ち上げ期の赤字が重くてキャッシュが持たない」という相談を受けてきました。個人を特定しない形で整理すると、既存事業(黒字)と新規事業法人(赤字)を完全支配関係で結ぶことで、グループとしての課税負担を抑えながら新規事業へのキャッシュを確保するという判断をされた方が複数います。
重要なのは、赤字を「通算に使うための道具」として意図的に作るのは本末転倒という点です。あくまで事業実態があり、かつ一時的に赤字が生じている法人を保有している場合に、グループ通算制度が機能するという順番を間違えないでください。
事例4〜5:私が法人設立後に直面したグループ通算制度の現実(筆者の実体験)
2026年の法人設立直後、顧問税理士に連結納税を聞いてみた結果
私は2026年に東京都内で株式会社を設立し、浅草エリアでインバウンド向け民泊事業を運営しています。設立時、AFP・宅建士としての知識を持ちながらも、実際に自分の会社の税務設計に向き合うのは初めての経験でした。
設立直後に顧問税理士へ「将来的に法人を2社体制にした場合、グループ通算制度は使えますか」と尋ねました。回答は明確で「使えるが、1社目が安定的に黒字を出していない段階では手続きコストの方が先行します」というものでした。実際、グループ通算制度の適用申請・毎期の通算申告には追加の税務費用が発生し、中小法人では年間数十万円の追加費用が生じるケースも珍しくないと教わりました。
正直、「節税できる仕組みがあるから使う」という単純な発想で飛びつかなくて良かったと感じています。法人設立初年度は売上予測と実績のギャップで資金繰りに緊張感があり、税制の選択より先に事業の基盤固めが優先事項でした。
事例4・5:フィリピン・ハワイ不動産保有法人と国内法人の損益関係
私はフィリピンとハワイに実物不動産を保有しています。海外物件を日本の法人名義で保有している場合、その法人の損益を国内の別法人と通算できるかという論点があります。結論からいうと、外国法人はグループ通算制度の対象外です。日本の法人税法上、完全支配関係にある内国法人同士のみが対象となります。
この点は保険代理店時代に海外資産を持つ経営者から質問を受けたことがあり、「海外法人への投資損は国内グループ内で通算できない」という前提で資産設計をする必要があると、当時から一貫してお伝えしていました。私自身も実際に法人を持つ立場となって、この制約をより実感しています。海外不動産を法人で保有する場合は、税務上の取り扱いが複雑になるため、必ず国際税務に詳しい税理士への相談をお勧めします。青色専従者 法人化 後 切替|失敗しない5ステップ2026最新
事例6〜7:グループ通算制度への移行と中小法人が見落とすリスク
事例6:旧連結納税からグループ通算制度へ移行した際の繰越欠損金の扱い
2022年4月のグループ通算制度導入に際し、旧連結納税を適用していた法人グループで問題になったのが「繰越欠損金の取り扱い変更」です。旧制度では連結グループ全体で管理されていた繰越欠損金が、新制度では原則として各法人個別に帰属するよう変更されました。
これにより、旧制度では有効活用できていた欠損金が、移行後に使い勝手が変わるケースが生じました。特に子法人に欠損金が多く積み上がっていた構造のグループでは、移行シミュレーションを丁寧に行う必要がありました。中小法人の場合、この影響は限定的なケースが多いものの、移行時期の確認は不可欠です。
事例7:中小法人が連結・通算を選ばなかった判断とその理由
総合保険代理店での勤務時代、ある経営者(製造業、年商約3億円)から「2社目を作るが、連結納税を使うべきか」という相談を受けたことがあります。詳細は個人特定を避けるため抽象化しますが、その方のケースでは2社目が黒字化までに3〜4年かかる見込みで、かつ株主構成が100%ではなかったため、グループ通算制度の適用要件を満たさないと判断しました。
結果として「通算制度は使わず、各社が独立した節税設計をする」という選択をされました。法人税の軽減税率(所得800万円以下に適用される15%)をそれぞれの法人で活用することで、グループとして見た時の税負担を抑える方向に切り替えたのです。これは「連結・通算を使わないこと自体が中小法人節税の選択肢になりうる」という典型的な事例です。マイクロ法人で資産管理会社の作り方|設立手順と節税効果を解説
1人社長が連結納税・グループ通算を判断する5つの基準
判断基準を整理:適用すべきケース・見送るべきケース
ここまで7つの事例を見てきた上で、1人社長・マイクロ法人オーナーが連結納税・グループ通算制度を検討する際の判断軸を整理します。以下は一般的な目安であり、個別の判断は税理士への相談を前提としてください。
- 完全支配関係(100%保有)が成立しているか:これがなければ制度の対象外。まずここを確認します。
- 黒字法人と赤字法人が同時期に並存しているか:どちらか一方しかなければ通算メリットは生まれません。
- 赤字法人の赤字が一時的かつ事業実態に基づくものか:意図的な赤字計上は税務上のリスクを伴います。
- 追加の税務申告コスト(年間目安:数十万円〜)を吸収できる規模か:小規模法人ではコスト負けするケースがあります。
- 将来の組織再編・M&Aを見据えた構造かどうか:グループ通算制度は出口戦略とも密接に関わります。
私自身の現状では、1社体制の段階であるため現時点でグループ通算制度は適用対象外です。2社目の設立を検討する段階で、改めてこの5つの基準に照らして判断するつもりでいます。
まとめ:連結納税事例から学ぶ、マイクロ法人の現実的な選択肢
連結納税の事例を7つ見てきて見えてくるのは、「制度を知っていること」と「自分に使えること」の間には大きな距離があるという現実です。グループ通算制度はたしかに中小法人節税の手段の一つですが、1人社長・マイクロ法人の段階では適用要件・コスト・事務負担を冷静に判断した上で、選択しないという判断も十分に合理的です。
AFP・宅建士として多くの経営者の資金相談に向き合い、自分自身も2026年に法人を立ち上げた経験から言えるのは「節税の手法は手段であって目的ではない」ということです。まず事業の利益構造を作ること、その上で税務設計をすること、この順番を崩さないことが中小法人節税の根幹です。
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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