法人の減価償却 相場は?1人社長が7資産を実額試算2026

法人の減価償却の相場は、資産の種類や取得価額によって大きく変わります。「何をどう経費に落とせばいいか分からない」という声は、マイクロ法人を運営する1人社長に特に多い悩みです。この記事では、2026年に実際に株式会社を設立した私が、PC・車・内装など7つの資産について取得額の目安と年間償却費を実額で試算します。耐用年数の早見表や定額法・定率法の選択基準も併せてまとめました。

法人の減価償却の「相場」とは何か

減価償却の基本:なぜ一括で経費にできないのか

減価償却とは、10万円以上の固定資産を購入した際に、その取得価額を耐用年数に応じて分割して費用計上する仕組みです。たとえば100万円のパソコンサーバーを購入しても、その年に全額を経費にするのではなく、耐用年数(一般的に5年)にわたって毎年一定額を計上していきます。

「相場」という言葉をこの文脈で使う時は、主に2つの意味があります。①その資産カテゴリでよく見られる取得価額の目安(購入価格の相場)と、②その取得価額から計算される年間の減価償却費の水準です。マイクロ法人や1人社長が節税を設計する上では、どちらの視点も欠かせません。

法人固定資産として計上できる資産の条件

法人の固定資産として減価償却の対象になるのは、原則として取得価額が10万円以上の有形資産です。ただしマイクロ法人が活用しやすい特例として、中小企業者等の少額減価償却資産の特例(取得価額30万円未満の資産を全額損金算入できる制度)があります。2026年現在も一定の条件のもとで適用可能ですが、年間合計300万円という上限があります。

また、10万円未満の消耗品は固定資産に計上せず、購入した期に全額費用処理できます。この境界線を正確に理解しているだけで、マイクロ法人の経費計上の精度は大きく上がります。なお個別の適用可否は税理士や税務署への確認を推奨します。

私が実際に法人を設立して気づいた減価償却の現実

「設備を揃えたい」衝動に注意——初期投資の落とし穴

2026年に東京都内で株式会社を設立した時、正直なところ「これで経費の幅が広がる」という期待がありました。法人なら色々なものを固定資産に計上できると思っていたからです。ところが実際に動き始めると、固定資産の計上と減価償却の仕組みが複雑で、「購入した年に全額が経費になるわけではない」という当たり前の事実が思った以上に手元のキャッシュフローに影響することを痛感しました。

設立初期は売上が本格的に立つ前だったため、第1期は税理士を入れず自分でゼロ申告する判断をしました。その時に固定資産台帳を自分でクラウド会計ソフトに入力しながら、「この資産は何年で償却するのか」「定額法と定率法はどちらが自分の会社に合うのか」と一つひとつ調べることになりました。制度の知識より、実際の手続きと期限管理でつまずくというのが正直な感想です。

役員報酬と固定資産のバランス——キャッシュをどこに使うか

設立初期は役員報酬を抑え、利益を会社に残す方針を取りました。その結果、手元に残った法人の資金をどう使うかが重要な経営判断になります。ここで固定資産への投資と減価償却の設計が直結してきます。

たとえば設備を購入して固定資産に計上すれば、毎年の減価償却費が損金に算入されて法人税の課税所得を圧縮できます。ただし購入した期のキャッシュは出ていくのに、経費は複数年に分散される。この「キャッシュと損金のズレ」を理解しないまま設備投資を進めると、資金繰りが苦しくなります。マイクロ法人の1人社長は、役員報酬・内部留保・固定資産投資のバランスを自分で判断しなければならないのが現実です。

7資産別の取得額相場と年間償却費の試算

PC・モニター・スマートフォン・カメラの減価償却相場

マイクロ法人でよく計上される資産の筆頭はPC関連機器です。以下は一般的な取得価額と年間償却費の目安です(定額法、千円未満切り捨て)。

  • ノートPC(業務用):取得価額20〜30万円、耐用年数4年、年間償却費約5〜7.5万円
  • 外付けモニター(2枚):取得価額8〜15万円、10万円未満なら消耗品扱いで全額費用処理可
  • スマートフォン(法人契約):取得価額10〜15万円、耐用年数4年もしくは30万円未満の少額特例で一括
  • デジタルカメラ(撮影業務用):取得価額15〜25万円、耐用年数5年、年間償却費約3〜5万円

PCの耐用年数は、サーバー用途かどうかで変わります。一般的なノートPCは4年が目安ですが、サーバーとして利用する場合は5年になるケースもあります。30万円未満の少額特例を使えば一括で損金処理できるため、マイクロ法人では活用を検討する価値があります。

車・内装工事・ソフトウェア・オフィス家具の減価償却相場

次に、取得価額が大きくなりやすい資産の目安をまとめます。

  • 普通乗用車(新車):取得価額200〜400万円、耐用年数6年、年間償却費(定額法)約33〜67万円
  • 普通乗用車(中古・3年落ち):取得価額80〜150万円、耐用年数2年(計算式:(6年-3年)+3年×0.2=2.6→2年)、年間償却費約40〜75万円
  • 内装工事費:取得価額50〜200万円、耐用年数10〜15年(建物附属設備として)、年間償却費約3〜20万円
  • 業務用ソフトウェア:取得価額10〜50万円、耐用年数5年、年間償却費約2〜10万円
  • オフィス家具(デスク・チェア等):取得価額10〜30万円、耐用年数8年、年間償却費約1.2〜3.7万円

中古車の耐用年数の計算は「(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2」という式が使われます。3年落ちの普通乗用車なら耐用年数が2年前後になり、短期間で大きな損金を作れる点が1人社長の節税で注目される理由です。ただし、事業利用割合が問題になるケースもあるため、按分の根拠を明確に記録しておくことが重要です。青色専従者 法人化 後 切替|失敗しない5ステップ2026最新

耐用年数の早見表と定額法・定率法の選択

主要資産の耐用年数早見表

減価償却の計算で最初につまずくのが耐用年数の把握です。以下に法人でよく使われる資産の法定耐用年数をまとめます(国税庁の耐用年数表に基づく一般的な目安)。

  • 普通乗用車:6年
  • 貨物自動車(ダンプ以外):4年
  • 工具・器具・備品(一般):4〜8年
  • サーバー用電子計算機:5年
  • それ以外の電子計算機(PC等):4年
  • カメラ等光学機器:5年
  • ソフトウェア(複写して販売するもの以外):5年
  • 建物附属設備(冷暖房・電気設備等):6〜15年
  • 金属製の家具・什器:15年
  • その他の家具(木製等):8年

耐用年数は資産の材質・用途・設置状況によって変わります。内装工事は「建物」として扱われるか「建物附属設備」として扱われるかで耐用年数が大きく異なるため、計上区分は慎重に判断する必要があります。

定額法と定率法——マイクロ法人はどちらを選ぶべきか

法人が選択できる償却方法は主に定額法と定率法の2種類です。定額法は毎年同額を償却する方法で、計算がシンプルです。定率法は残存簿価に一定率をかけるため、初期の償却額が大きくなり、早期に損金を多く計上できます。

マイクロ法人や1人社長の節税という観点で考えると、利益が出ている時期に多くの損金を計上したければ定率法が有利に働く場面があります。一方で、売上が安定しない設立初期は定額法でシンプルに管理する選択も合理的です。なお、2007年の税制改正以降、法人の減価償却は原則として定率法が適用されます(届出で定額法への変更が可能)。建物・建物附属設備・無形固定資産は定額法のみです。

私が実際に法人を運営する中で感じたのは、「どちらが得か」より「自分が毎期継続して管理できるか」という実務上の視点が意外と重要だということです。クラウド会計ソフトを使えば計算自体は自動化できますが、資産の登録区分を間違えると何年もズレが続きます。設立初期は特に、シンプルな管理体制を優先することも一つの判断です。マイクロ法人で資産管理会社の作り方|設立手順と節税効果を解説

私の法人実額試算公開と1人社長が押さえる節税のポイント

2026年設立・マイクロ法人の固定資産構成と年間償却費の実例

私が2026年に東京都内で設立した株式会社では、設立初期に計上した固定資産は最低限に絞りました。以下は実際の法人運営に近いイメージとして、1人社長がよく持つ資産構成の試算例です(実際の個別状況は異なります)。

  • ノートPC 1台:取得価額25万円、耐用年数4年、年間償却費62,500円(定額法)
  • 業務用スマートフォン 1台:取得価額12万円、少額特例で全額損金(1期目に一括)
  • オフィスチェア・デスク:取得価額18万円、少額特例で全額損金(1期目に一括)
  • 業務用ソフトウェア(クラウド年契以外):取得価額30万円、耐用年数5年、年間償却費60,000円

上記の構成で、1期目に少額特例で一括損金処理できる金額は合計30万円(12万円+18万円)、残りのPCとソフトウェアは複数年で毎年計12.25万円を償却していく計算になります。マイクロ法人の経費として見た場合、取得初年度に大きな損金を作れる少額特例の活用は節税効果が期待できます。

ただし、第1期は売上が小さいケースも多く、損金を大量に作っても課税所得がゼロに近ければ節税効果は限定的です。私が第1期はゼロ申告を自分で行った経験から言うと、「節税の設計は売上の見通しとセットで考えることが先決」だと感じています。

まとめ:減価償却の相場を知ったうえで法人設立の次の一手へ

  • 法人の減価償却の相場は資産カテゴリと取得価額で大きく異なる。PC・スマホ・車・内装・ソフトウェアそれぞれに法定耐用年数がある。
  • 中古車(3年落ち)や30万円未満の資産の少額特例は、1人社長の節税で活用価値が高い。
  • 定額法・定率法の選択は「どちらが得か」だけでなく、実務的な管理のシンプルさも判断軸にする。
  • 設立初期は売上規模と固定資産投資のバランスを慎重に見極めることが重要。
  • 固定資産の計上区分ミスは複数年にわたって影響するため、クラウド会計ソフトを使った正確な登録が欠かせない。
  • 法人化の手続き自体は、専門家に丸投げしなくても自力で進められる環境が整ってきているが、「作った後の運営」こそが本番だと痛感している。

減価償却の設計は、法人設立直後から向き合う実務の一つです。私が実際に法人を設立した経験から言うと、制度の理解より「正確な資産登録を継続できるか」が長期的な節税設計の精度を左右します。まず法人を作ることへのハードルを下げるためにも、設立手続きのステップを整理しておくことをおすすめします。

会社設立に必要な書類を無料作成 マネーフォワード 会社設立

筆者:Christopher/2026年に1人で株式会社を設立した現役経営者。法人口座の審査に何度も落ち、第1期は税理士を入れず自分でゼロ申告するなど、マイクロ法人運営の「制度の建前では分からない現実」を当事者として体験。税理士が制度を解説する立場ではなく、自分で法人を作って運営している側の本音を中立に発信している。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。

【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆

本記事のリンクはアフィリエイトリンクを含みます。

タイトルとURLをコピーしました