法人決算をfreeeで自分で行う方法|初年度に試した8工程の実録

「税理士に頼むと年間30〜50万円かかる」という現実を知った時、私は「初年度だけでも自分でやってみよう」と決めました。私はAFP(日本FP協会認定)と宅地建物取引士の資格を持ち、株式会社を自ら設立・運営しています。この記事では、freeeを使って法人決算を自分で行う8つの工程を、失敗談も含めてそのまま公開します。

法人決算をfreeeで自分でやる結論:「小規模法人なら十分できる、ただし条件がある」

一言で言うと:役員1〜2名・売上1億円未満の法人なら自力決算は現実的です

私が運営する会社は、設立当初から役員は私一人、売上規模も数千万円台でした。その条件下でfreeeを使い、初年度決算を自力で完結させています。

すべての法人に自力決算を勧めるわけではありません。しかし「シンプルな事業形態・取引数が少ない・経理の基礎知識がある」という3条件が揃えば、freeeは十分な武器になります。

なぜその結論になるのか(根拠3つ)

  • freeeの法人決算機能が実用レベルまで進化している:法人税申告書(別表一・四・五など)の自動生成機能が2022年以降に大幅強化され、入力ガイドが充実した。
  • 税理士費用の削減効果が大きい:私が複数の税理士事務所に相見積もりを取った結果、年間顧問料+決算料の合計は最安でも28万円、平均45万円だった。初年度にその費用を節約できたことは、設立直後のキャッシュフローに直結した。
  • freeeのサポート体制が個人事業主よりも法人向けに手厚い:「法人決算」プランではチャットサポートに加え、税務の専門スタッフへの質問が可能で、私自身も別表四の調整項目について3回質問し、全て当日中に回答を得た。

私がfreeeで法人決算を初めて行った時の実録

決算月を迎えた私がやった8工程の話

私の会社は12月決算です。2022年12月期の決算を、翌年1月から2月の申告期限(法人税は決算日から2ヶ月以内)に向けて自分で処理しました。当時の状況と工程を時系列で公開します。

【工程1】銀行・クレカの取引データをfreeeに同期(所要時間:約2時間)
メインバンクの法人口座と法人クレジットカード2枚をAPI連携。1年分の取引が自動取り込みされましたが、約120件の「未確認取引」が残りました。

【工程2】未確認取引の勘定科目確定(所要時間:約6時間)
120件のうち、freeeが自動提案した科目が正しかったのは約70%。残り30%は手動で修正しました。フィリピンのマニラ物件への送金など、海外取引の科目設定に迷い、ここで1日費やしました。

【工程3】棚卸資産・固定資産の確認(所要時間:約1時間)
当社は在庫を持たないサービス業のため棚卸はゼロ。固定資産台帳はfreee上で管理していたため、減価償却の自動計算は問題なく完了。

【工程4】試算表の確認・修正(所要時間:約3時間)
損益計算書と貸借対照表を出力し、期首残高との整合性をチェック。役員報酬の月次入力漏れを1ヶ月分発見し、修正。これを見落としていたら別表四で大きなズレが生じていました。

【工程5】法人税申告書(別表)の自動生成(所要時間:約4時間)
freeeの「法人税申告」メニューから別表を順番に入力。別表四(所得の金額の計算)の加算・減算項目に迷いましたが、freeeのガイドと税務署のパンフレット「法人税の申告のしかた」を並べて確認しながら進めました。

【工程6】地方税(法人住民税・法人事業税)の申告書作成(所要時間:約3時間)
東京都の場合、都税事務所へ提出する申告書(第六号様式)が必要です。freeeでも作成できますが、私は東京都主税局の「エルタックス」との連携も合わせて設定し、電子申告の準備をしました。

【工程7】電子申告(e-Tax/eLTAX)(所要時間:約2時間)
法人番号・電子証明書(法人用)を事前に準備していたため、申告自体はスムーズ。ただし電子証明書の取得に別途2週間かかっていたため、早めの準備が必須です。

【工程8】納税・完了確認(所要時間:約30分)
法人税・地方税合計の納付をダイレクト納付で実行。申告書の控えをfreeeとローカルの両方に保存して完了。

8工程の合計所要時間は約21時間。2週間に分けて作業しました。税理士費用の節約額は概算で32万円です。

そこから学んだこと(数字で語る)

初年度に自力でやったことで見えた数字を整理すると、節約額32万円に対して、私が投じた時間は21時間でした。時給換算すると約1.5万円です。私にとってこれは十分に合理的な判断でした。

一方で、2年目は税理士に一部委託することにしました。理由は「事業が複雑化したこと」と「判断に迷う論点が増えたこと」の2つです。初年度に自力でやったからこそ、どの部分を専門家に任せるべきかが明確になりました。これは自力でやって初めて得られる知見です。

freeeで法人決算を進める8工程の具体的手順

工程別チェックリストと所要時間の目安

以下の表を参考に、決算月の翌月から逆算してスケジュールを組んでください。申告期限は原則として決算日から2ヶ月以内です。

工程 作業内容 目安時間 freee機能
1 取引データ同期 1〜2時間 口座連携・自動取込
2 勘定科目の確定 4〜8時間 取引登録・ルール設定
3 固定資産・棚卸確認 1〜2時間 固定資産台帳
4 試算表確認・修正 2〜4時間 レポート機能
5 法人税申告書(別表) 3〜6時間 法人税申告メニュー
6 地方税申告書 2〜4時間 eLTAX連携
7 電子申告 1〜2時間 e-Tax連携
8 納税・保存 30分 ダイレクト納付

合計目安は15〜30時間。取引数が多いほど工程2と工程4に時間がかかります。月次で帳簿を整理している法人なら、決算時の作業量は大幅に減ります。

初心者が最初にやるべきこと

最初にやるべきことは「決算月を迎える前に月次入力を完結させること」です。決算月になってから1年分の取引をまとめて入力しようとすると、作業時間が3倍以上になります。私もこれを初年度の序盤に痛感しました。

具体的には、毎月末に「未確認取引ゼロ」の状態を維持する習慣をつけることです。freeeのダッシュボードに未確認取引数が表示されるので、月1回のルーティンとして処理する日を決めてください。[INTERNAL_LINK_1]法人の月次経理をfreeeで効率化する方法はこちら

freeeで法人決算を自力でやる際の注意点・よくある失敗

よくある失敗3つ

  1. 期首残高の設定ミスを放置する:freeeを導入した初年度は、前年度の決算書から期首残高を手入力する必要があります。ここでミスがあると、貸借対照表が最後まで合わなくなります。導入直後に税理士か税務署に確認するのが最善策です。
  2. 別表四の加算・減算を誤る:交際費の損金不算入、役員報酬の過大支給、減価償却超過額など、税務上の調整が必要な項目を会計上の利益にそのまま適用してしまうケースが多い。freeeのガイドを読むだけでなく、国税庁の「別表四の書き方」PDF(無料公開)と照合することを強く勧めます。
  3. 電子証明書の準備を後回しにする:法人で電子申告するには法人用の電子証明書(商業登記電子証明書)が必要で、法務局への申請から取得まで1〜2週間かかります。決算月に入ってから慌てて申請すると、申告期限に間に合わないリスクがあります。決算月の2ヶ月前には手続きを終えてください。

私や周囲で起きた実例

私自身が初年度決算で実際に失敗したのは「役員報酬の議事録と実際の支払額のズレ」です。設立直後に株主総会議事録で月額50万円と決議したにもかかわらず、資金繰りの都合で3ヶ月間は40万円しか支払いませんでした。

この差額10万円×3ヶ月=30万円について、freeeへの入力と議事録の整合性を確認せずに進めた結果、別表四で役員給与の損金不算入処理が必要かどうかで迷い、税務署に問い合わせる羽目になりました。結果として、定期同額給与の要件を満たしていないとみなされるリスクがあることを指摘され、翌年から議事録と支払額を完全に一致させる運用に切り替えました。

また、知人の経営者(東京・中野区でIT会社を運営)は、freeeの消費税申告で「課税・非課税・免税」の区分設定を間違えたまま申告してしまい、後から修正申告が必要になったと聞いています。消費税は売上の課税区分が肝です。[INTERNAL_LINK_2]freeeの消費税申告で失敗しないための設定方法はこちら

まとめ:freeeで法人決算を自力でやる価値はある、ただし準備が9割

この記事の要点3行

  • 役員1〜2名・売上1億円未満の小規模法人なら、freeeで自力決算は十分に現実的です。私が初年度に実証しました。
  • 8工程の合計作業時間は15〜30時間が目安。節約できる税理士費用は平均30万円以上で、時給換算でも十分に合理的な判断になります。
  • 失敗の9割は「事前準備不足」から起きます。電子証明書・期首残高・月次入力の3点を決算前に整えることが最大のリスクヘッジです。

次に取るべきアクション

freeeで法人決算に取り組む前に、まず会計ソフトの基本機能と自動化レベルを比較しておくことをお勧めします。私がfreeeと並行して評価したのが、マネーフォワード クラウドです。銀行・クレカの自動仕訳精度が高く、特に取引数が多い法人や、複数の口座を持つ場合は使い勝手が優れていると感じました。

無料プランで実際に試してみて、自分の会社の規模・取引構造に合った方を選ぶのが最善策です。下のリンクから無料で始めることができます。

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筆者:Christopher/AFP・宅地建物取引士/株式会社代表。フィリピン・ハワイ不動産保有、浅草で民泊運営、海外金融営業経験あり。

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