「赤字なのに確定申告なんて意味あるの?」と思っていませんか。私も起業1年目はそう考えて、申告を後回しにしかけました。しかしAFP(日本FP協会認定)の資格を持つ私が実務で学んだのは、赤字こそ確定申告が最も「効く」タイミングだということです。この記事では5年間の実体験と具体的な数字をもとに、その理由を徹底解説します。
赤字の個人事業主が確定申告すべき理由:結論から伝えます
一言で言うと「赤字申告は翌年以降への投資」です
赤字で確定申告をする最大の理由は、その損失を翌年以降の黒字と相殺できる「損失繰越控除」を使えるようになるからです。青色申告であれば、赤字を最長3年間繰り越すことができます。今年の損失が、来年・再来年の税負担を直接減らす武器になるのです。
「今年は赤字だから申告しなくていい」という判断は、この権利を完全に放棄することを意味します。一度でも申告を飛ばすと、その年の損失は永遠に消えてしまいます。赤字こそ、申告を絶対に怠ってはいけない年なのです。
なぜその結論になるのか(根拠を3つ)
- 損失繰越控除(青色申告):純損失を翌年から最長3年間繰り越し、黒字年の所得と相殺できる。所得税・住民税の税額を直接圧縮できる唯一の手段です。
- 源泉徴収税の還付:取引先から報酬の10.21%を源泉徴収されている場合、赤字申告によって払いすぎた税金が戻ってきます。申告しなければ還付はゼロです。
- 社会的信用・融資審査への対応:確定申告書は個人事業主にとって唯一の「収入証明」です。赤字であっても申告書の提出実績は、銀行融資・賃貸契約・補助金申請における信用の土台になります。
私が実際に赤字申告をして得た経験:5年間のリアルな話
起業1年目に赤字申告を怠りかけた、あの失敗寸前の話
私がChristopherという名前で株式会社を設立する前、まず個人事業主としてスタートした2019年のことです。その年は設備投資やWebサイト制作費、海外現地法人との契約手数料などが重なり、売上200万円に対して経費が280万円超。約80万円の純損失という状況でした。
「どうせ赤字だし、税金もかからないから申告しなくていいだろう」——正直、そう思いました。当時の私はAFP資格の勉強は始めていましたが、実務知識はまだ浅く、損失繰越の仕組みをきちんと理解していなかったのです。
担当の税理士から「Christopher、それは絶対に申告してください。来年黒字になったとき、この80万円がそのまま控除になりますよ」と言われて、ようやく重い腰を上げました。あのとき申告を飛ばしていたら、翌年黒字転換したときの税負担が大幅に増えていたはずです。今思い返すと、ぞっとします。
そこから学んだこと:数字で語る3つの実績
あの経験から5年間、私は赤字・黒字に関わらず青色申告を徹底してきました。その結果、具体的に以下の効果を実感しています。
① 損失繰越で翌年の所得税を約18万円圧縮:2019年の損失約80万円を2020年の黒字と相殺した結果、課税所得が80万円下がり、所得税額が約18万円減少しました。申告1回の判断が18万円の節税につながったのです。
② 源泉徴収の還付で12万円が口座に戻ってきた:複数のクライアントから源泉徴収されていた金額の合計が年間約12万円。赤字申告によって全額還付され、運転資金として助かりました。
③ 申告書の実績がフィリピン物件購入時の与信に貢献:マニラのコンドミニアムを購入した際、日本の確定申告書(3期分)を提示することで、現地不動産会社からの信用を得られました。赤字年の申告書も含まれていましたが、「継続して申告している事業主」という実績が評価されたのです。
赤字申告を確実にこなす手順と、ツールの賢い使い方
赤字個人事業主が確定申告をするための4ステップ
手順は難しくありません。以下の4ステップで進めてください。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ① | 青色申告承認申請書の提出 | 開業から2ヶ月以内、または前年3月15日まで |
| ② | 年間の収入・経費を帳簿に記録 | クラウド会計ソフトを使えば自動連携で大幅時短 |
| ③ | 損益計算書・貸借対照表を作成 | 赤字の場合は「純損失の金額」を確認 |
| ④ | 確定申告書第四表(損失申告用)を添付して提出 | e-Taxまたは税務署窓口、期限は翌年3月15日 |
特に④の「第四表」は赤字申告で絶対に必要な書類です。これを添付しないと損失繰越が認められません。クラウド会計ソフトを使えば、この書類も自動で作成されるため、記入漏れのリスクを大幅に減らせます。
初心者が最初にやるべきこと:まず会計ソフトを入れる
私が起業初年度に一番後悔したのは、「最初から会計ソフトを使わなかった」ことです。2019年は領収書を紙で保管してExcelに手入力していたため、年末の集計作業だけで丸2日かかりました。それ以降、クラウド会計ソフトに切り替えてからは、銀行口座やクレジットカードの明細が自動で取り込まれ、仕訳の8割近くが自動分類されるようになりました。
個人事業主が最初にやるべきことは、帳簿付けを「習慣」ではなく「仕組み」で解決することです。会計ソフトを先に入れてしまえば、あとはソフトが記録を積み上げてくれます。確定申告が近づいてから慌てる必要がなくなります。詳しい青色申告の始め方については 赤字決算でも融資を受ける5つの方法|公庫申請中の代表が解説“>青色申告の開始手続き完全ガイド もあわせて参考にしてください。
赤字申告でやってしまいがちな失敗と、私の周囲で起きた実例
よくある失敗3つ
- 青色申告の承認を取らずに申告してしまう:損失繰越は青色申告者のみの特権です。白色申告では純損失の繰越控除は原則使えません。開業届と同時に青色申告承認申請書を出すのが鉄則です。これを知らずに白色で申告し続けた結果、3年間の損失繰越機会を丸ごと逃したケースを複数見てきました。
- 「第四表(損失申告用)」の添付を忘れる:青色申告者でも、確定申告書に第四表を添付しなければ損失繰越は認められません。申告書の作成時に第四表の存在に気づかず提出してしまうミスは非常に多いです。提出後に修正申告で対応できますが、余計な手間がかかります。
- プライベートと事業の経費を混同する:赤字を大きく見せようとして、プライベートの支出を経費に計上するのは絶対に禁止です。税務調査で指摘された場合、追徴課税・加算税の対象になります。私はAFPとして相談を受けた際、「経費にしていいか迷ったら計上しない」と必ず伝えています。
私と周囲で実際に起きた失敗の実例
私が浅草で民泊運営を始めた2021年、コロナ禍の影響で稼働率が激減し、その年も赤字となりました。この年は慌てて申告したため、減価償却の計算方法を一部誤り、後から修正申告を出す羽目になりました。修正自体は問題なく受理されましたが、余分に税理士費用が1.5万円かかり、精神的なストレスも相当なものでした。
また、知人の個人事業主(フリーランスのデザイナー)は、赤字だった2020年の申告を「どうせ税金ゼロだから」とスキップしました。2021年に黒字転換して課税所得が約120万円になったとき、前年の損失約90万円を繰り越せていれば課税所得は30万円で済んだはずが、120万円に対してまるまる課税されてしまいました。税額にして約16万円の差です。「あのとき申告しておけばよかった」と強く後悔していました。詳しい修正申告の手続きについては 赤字決算でも融資を通した実例と裏付け資料“>確定申告の修正・更正請求ガイド も参照してください。
まとめ:赤字の個人事業主こそ確定申告を最優先にすべきです
この記事の要点3行
- 赤字でも青色申告すれば損失を最長3年繰り越せ、黒字転換した年の税負担を直接減らせる。
- 源泉徴収された税金の還付を受けられるのは申告した人だけ。申告しない選択は「お金を捨てる」のと同じです。
- 確定申告書は個人事業主の唯一の収入証明。赤字年も含めた申告実績が、融資・賃貸・補助金審査における信用の基盤になります。
次に取るべきアクション:今日、会計ソフトを入れてください
赤字申告を確実・正確にこなすために、今日すぐできることがあります。それはクラウド会計ソフトを導入して、記帳の仕組みを整えることです。私自身、ソフトを使い始めてから年末の申告作業が大幅に楽になり、第四表などの書類も自動で作成されるようになりました。
私が実際に使っているのは、銀行・カード連携で仕訳を自動化し、青色申告書類を一括で作成できるツールです。無料プランから始められるので、まず試してみることをおすすめします。損失繰越の機会を逃す前に、今年の帳簿を今から整えてください。
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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