「マイクロ法人を作るとき、取締役会って設置しないといけないの?」と疑問に思っていませんか。結論から言うと、ほとんどのマイクロ法人では取締役会は不要です。ただし、判断を間違えると後から定款変更や登記変更が必要になり、余計なコストと手間がかかります。この記事では、AFP・宅地建物取引士の資格を持ち、自ら株式会社を設立・運営してきた私Christopherが、役員1人でも迷わない判断基準を5つに整理して解説します。
マイクロ法人に取締役会は必要か?結論を先に伝えます
一言で言うと「取締役会は原則不要、設置しないのが正解」
マイクロ法人、つまり役員が1〜2名程度の小規模な株式会社では、取締役会を設置する必要はありません。会社法上、取締役会は「3名以上の取締役」と「1名以上の監査役」が揃って初めて設置できる機関です。役員が1人の一人会社では、そもそも法的に設置自体が成立しません。
さらに言えば、仮に役員を3名集められる状況だとしても、マイクロ法人にあえて取締役会を置くメリットはほぼゼロです。意思決定が遅くなり、議事録作成などの管理コストだけが増えます。
なぜ「不要」という結論になるのか(根拠3つ)
- 会社法の要件を満たせない:取締役会設置会社には取締役3名以上が必須(会社法331条5項)。役員1人のマイクロ法人は法的要件を満たさないため、設置できません。
- 意思決定の柔軟性が失われる:取締役会を置くと、重要事項の決定に取締役会決議が必要になります。一人でスピーディーに動くマイクロ法人の最大のメリットを自ら潰すことになります。
- 管理コストが無駄に増える:取締役会は3ヶ月に1度以上の開催義務があり、議事録の保管義務(本店10年)も発生します。税理士・司法書士への依頼費用も含めると、年間で数十万円単位のコスト増につながります。
私がマイクロ法人を設立したときの実体験
会社設立直前に「取締役会どうする?」と焦った話
私が株式会社を設立したのは2019年のことです。当時、フィリピン・マニラのコンドミニアムへの不動産投資と並行して、日本国内でも事業を法人化しようと動いていました。東京・浅草エリアで民泊を運営しながら、法人格を取得することで信用力を高めたかったのが主な動機です。
設立の手続きを進める中で、定款の雛形を見ていると「取締役会設置会社」という選択肢が出てきました。「取締役会がある会社のほうが、なんとなく立派に見える」という、今思えば完全に見栄だけの理由で、一瞬設置を検討しました。
しかし当時お願いしていた司法書士の方に相談したところ、「Christopherさん、役員は今のところご自身だけですよね? だったら取締役会は設置できませんし、する必要もありませんよ」と即座に止められました。焦って間違った方向に進みかけた、典型的な失敗未遂です。
そこから学んだこと(数字で語る)
この経験から学んだ最大の教訓は、「形式的なかっこよさより、実務コストを先に計算せよ」ということです。具体的に数字で整理すると次のとおりです。
取締役会を設置した場合、最低でも取締役3名分の登記費用(登録免許税含む追加実費)が数万円、議事録作成の外注費が年間6〜12万円、監査役設置による定款変更コストが別途5〜10万円かかることがあります。合計すると初年度だけで20〜30万円規模の差が生まれます。
AFP(日本FP協会認定)の視点から言っても、マイクロ法人は「いかにコストを最小化して手残りを最大化するか」が核心です。不要な機関設計は、その目的と真逆の結果をもたらします。私は結果的に取締役会なしの株式会社として設立し、その後の運営もシンプルに維持できています。
取締役会が必要かどうかを判断する5つの基準
判断基準の一覧と比較表
「自分のケースはどうなのか」を迷わず判断できるよう、5つの基準を整理しました。以下の表を確認してください。
| 判断基準 | 取締役会が不要なケース | 取締役会を検討するケース |
|---|---|---|
| ①役員の人数 | 1〜2名(一人会社含む) | 3名以上揃えられる場合 |
| ②事業規模の見通し | 売上1,000万円未満の小規模運営 | 上場・外部資本導入を将来的に計画 |
| ③意思決定のスピード | 代表が即断即決したい | 複数人でガバナンスを効かせたい |
| ④融資・取引先への信用力 | 個人保証で対応できる段階 | 機関投資家・大手企業との契約が前提 |
| ⑤管理コストの許容度 | 年間管理コストを最小化したい | 管理コストより対外的な信用を優先 |
上記5つの基準のうち、4つ以上が「不要」側に当てはまるなら、取締役会の設置は見送ってください。マイクロ法人として社会保険料の節約や経費化の最大化を狙うなら、シンプルな機関設計が絶対条件です。
初心者がまず確認すべきこと
会社設立を初めて検討しているあなたに、最初にやるべきことを明確に伝えます。それは「株式会社にするか、合同会社にするか」を先に決めることです。
マイクロ法人の目的が「社会保険料の最適化」や「経費の法人化」にあるなら、合同会社という選択肢も有力です。合同会社には取締役会という概念自体が存在しないため、今回の悩みをそもそも回避できます。設立費用も株式会社より6〜10万円程度安く済みます。
一方、「株式会社の信用力が必要」「名刺に株式会社と入れたい」という理由があるなら株式会社を選び、取締役会なしのシンプルな形で設立するのがベストです。詳しい法人形態の比較はマイクロ法人の株式会社vs合同会社比較記事も参考にしてください。
取締役会の設計で起きやすい失敗と注意点
よくある失敗3つ
- 「取締役会あり」で定款を作成してしまい、後から変更登記が必要になる:ネット上の雛形をそのままコピーして定款に「取締役会設置会社」と記載してしまうケースが多いです。後から変更するには株主総会決議と登記変更が必要で、司法書士報酬を含めると5〜15万円の追加コストが発生します。
- 名目上の役員を追加して取締役会を設置しようとする:「取締役会があるほうが銀行融資に有利」という誤情報を信じて、家族や知人を名目上の取締役に据えるケースがあります。しかし名目だけの役員には法的責任が生じ、トラブルの元になります。金融機関も実態を精査するため、融資審査で逆効果になることさえあります。
- 監査役の設置義務を見落とす:取締役会設置会社には原則として監査役も必要です(会社法327条2項)。取締役会だけ設置しようとして、監査役の手当てを忘れると定款が無効になります。監査役を追加すれば、その分の登記費用と役員報酬の問題も発生します。
私の周囲で実際に起きた事例
2021年、私の知人がフリーランスから法人化する際に、税理士に相談せずに自力で定款を作成しました。インターネットで拾った古いテンプレートを使ったため、「取締役会設置会社」の記載がそのまま残っていました。
公証役場でのチェックと法務局への登記申請の段階で不備が発覚し、定款の再作成と追加の公証人手数料が発生。最終的に設立完了まで予定より3週間遅れ、追加費用は約8万円に上りました。本人から「あの3週間と8万円は本当に痛かった」と聞かされたのが、今でも記憶に残っています。
こうした失敗を防ぐためにも、定款作成の段階から正確なツールや専門家のサポートを活用することを強くすすめます。機関設計の選択ミスは、設立後に取り返すのが難しいコストと時間のロスに直結します。詳しい定款作成のポイントはマイクロ法人の定款作成ガイドもあわせてご覧ください。
まとめ:マイクロ法人に取締役会は不要、シンプルに設立しよう
この記事の要点3行
- マイクロ法人(役員1〜2名)は会社法上の要件を満たせないため、取締役会を設置できないし、する必要もない。
- 取締役会を設置すると議事録管理・開催義務・監査役設置など管理コストが年間数十万円単位で増加し、マイクロ法人の目的と真逆の結果になる。
- 定款作成の段階で「取締役会なし」を明示して設立するのが最善。間違えると変更登記に5〜15万円の追加費用がかかる。
次に取るべきアクション
マイクロ法人の設立を決意したなら、まず定款を正確に作成することが最初の関門です。私自身、設立時に定款の機関設計でつまずきかけた経験から断言します。専用ツールを使えばミスのリスクを大幅に下げられます。
私が実際に確認して信頼できると判断したのが、マネーフォワード クラウド会社設立です。取締役会の設置有無を含む機関設計の選択肢を画面上でガイドしてくれるため、法律知識がなくても定款を正確に仕上げられます。書類作成は無料で使えるので、まず試してみてください。

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